「FMV LOOX」は、クリエイターのツールとしても魅力的な最新のタブレット型PC。プロが使えば、その創造性はどのように花開くのだろう?
お迎えしたのは、繊細なタッチで独自の世界観を築いている気鋭の人気イラストレーター、灸場メロさん。実際にイラストを制作いただき、「FMV LOOX」の持つポテンシャルを体感していただきました。
驚きの軽さと、画質の良さ。専用のペンもキレイに“入り抜き”できる
- ■どのような作品を手掛けていますか?
- □SNSで好きな漫画やアニメのファンアートを発表しながら、それが縁でつながったクライアントの依頼による仕事絵を手掛けています。作品のタッチは厚塗り系で、キャラクターをメインにしたイラストが多いです。
- ■作品に対してもっともこだわるポイントは?
- □ライティングでしょうか。光と陰影を意識して、色の使い方にもこだわっています。
- ■インスピレーションの源は何でしょう?
- □好きな映画や音楽です。例えば好きなバンドの音楽を聴いていると、彼らに適したシーンやイメージが映像として浮かんできます。仕事で依頼された絵を描いているときも、音楽を聴いていると集中できます。
- ■FMV LOOXを使った印象はいかがですか?
- □軽さに驚きました。似たような機種と比べてもすごく軽いと感じます。あとは画質の良さです。カンバスサイズに拡大してもドット抜けすることなく、YouTubeも鮮やかな発色で綺麗に観られる。高性能で繊細な機種だと感じました。
- ■FMV LOOXでの作画はいかがでしょう?
- □オプションの「FMV LOOXペン」を使用しましたが、長いストロークでも、ペンの入り抜きがきれいにできる。塗りに関しても、僕の制作環境と比べても全く遜色のないクオリティで、これ一台で作業できてしまえるのが魅力だと思いました。
- ■どんなシチュエーションで使えそうですか?
- □持ち運びに便利でどこでもすぐに作画できるので、散歩や旅行先で絵を描いたり、出張先で作業したりと機能的に使えそうです。仕事に煮詰まったときは気分転換を兼ねて、机ではなくソファやベッドで作業することもできるので便利ですね。メイン機種として使用できるパワーもあるし、FMV LOOXである程度塗り込んだ後、別の機種で仕上げを行うなど、制作環境に応じて柔軟に対応できるPCだと思います。
- ■FMV LOOXを使って実際にイラストを描き下ろしていただきましたが、作品のテーマなどはありますか?
- □独創性です。イラストレーターとして感じる、FMV LOOXに秘められた可能性を表現したかった。いろいろなモチーフを考えましたが、最後はシンプルに絵を描くキャラクターをメインに据えました。
好きだったキャラクターは「ドラゴンボール」のゴテンクス
- ■「灸場メロ」とはユニークなペンネームですね。由来はあるのですか?
- □「灸」の文字は、自分の好きだったイラストレーターさんからいただいたものです。これからイラストレーターとしてやっていきたいので、ぜひ一文字をくださいと無理にお願いしました。その方がいなければ、今の僕はなかったと思います。
- ■もともとは漫画家を目指していたそうですね?
- □はい。でもネームを考える段階ですでに挫折してしまい、漫画家になるのは、想像以上にハードルが高いと実感しました。ツイッターに作品をアップしたこともありますが、自分には一枚絵の方が性に合っていると思います。
- ■とはいえ、機会があれば漫画にチャレンジしてみたいですか?
- □今も自分の考えた漫画のストーリーの夢をよく見ます。報われていないと感じる主人公が、自ら運命を切り拓いていくようなストーリーが好きです。
- ■ゲーム会社で社員として働きながら、イラストレータとしても活動されていたそうですね。
- □当初は会社員として勤めながら作品を発表していたのですが、徐々に仕事の依頼をいただくようになりました。
- ■フリーとしてやっていこうと決意した一番の理由は?
- □本業の方が疎かになっていると感じたからです。中途半端にしたくはなかったので、独立しようと決意しました。
- ■不安はなかったですか?
- □会社を辞めた当初はありました。仕事がなくなって貯金も尽きてしまったら、また戻ろうかなとも考えたりしましたが、おかげさまでなんとかやれています。
- ■幼い頃から絵を描くのは好きだった?
- □はい。寝る前に、A4用紙に好きなキャラクターを描いたりしていました。特に好きだったのは「ドラゴンボール」のゴテンクス。ガシャポンでゲットしたフィギュアを枕元に置いて寝ていたほどで、フォルムも好きだったし、かっこよかったです。
- ■アニメや漫画が好きだった当時の延長線で仕事ができているという実感はありますか?
- □アニメもそうですが、映画や音楽など自分の好きなジャンルの依頼を受けるようになったのはここ最近です。それまでは、好きの延長線という意識はあまりなかったですね。
技術的なことだけでなく、人間性を伝えることも大切

- ■プロとして活動するうえで、心境の変化はありましたか?
- □自分の作品でも仕事絵でも、こだわりを突き詰めていくという過程は変わりがありません。ただ、仕事ではクライアントの意向を汲み取ることが大切ですので、先方の要望を自分の中にしっかりと落とし込んで、同時に自分のカラーを出せるよう、気を配っています。
- ■時には無理難題も……?
- □あります。でも、クライアントの意見を第一に考えなければならないですから。感情的になってメールのやり取りが乱雑になりそうなときも、「あっ、いけない!」と冷静になり、文章を書き直すようなときもありました。
- ■海外からも仕事の依頼があるそうですが、日本との違いはありますか?
- □国内では、資料を作成いただくなど対応はきめ細やかですが、海外の方は割とざっくりとした印象です。なかなか意図を汲み取ることができずに苦労したこともあります。
- ■メロさんが自分のオリジナリティが認められたと実感したのはいつでしょうか?
- □キャラクターデザインの依頼をいただいたときです。
- ■画力や技術的な面で、自分の描きたいものが描けないという葛藤を覚えた時期はあるのでしょうか?
- □もちろんあります。それを克服するには、尊敬している方の技術やタッチを取り入れながら、ひたすら描き続けるしかないです。そうやって長い時間をかけて作画と向きあうことで、自分なりのテイストが生まれてくるのだと思います。僕自身、本当に納得できる絵が描けるようになったのはここ最近のことですから。
- ■自分の絵に関して悩みを持つ方にアドバイスをするとしたら?
- □煮詰まったら机から離れて、こういう作品が描きたいというイラストを見て、じっくりと観察するということでしょうか。
- ■イラストレーターとして大切なことは?
- □技術的なこともそうですが、クライアントとのやりとりや、相手とどう接するかなど、コミュニケーションや人間性を伝えることも大切だと実感しています。
- ■メロさんにとってイラストレーターの理想像は?
- □ぱっと見ても、この人の絵だとわかるような作品を描けることです。
- ■イラストレーターを目指している方々へメッセージをお願いします。
- □現代はSNSを通じて仕事に結びつくことが多いので、どんどん作品を発表していくことが大切だと思います。最初は上手い下手を気にせず、とにかく作品を仕上げることを目標にしてください。技術的なことで言えば、画力を高めるにはやっぱりデッサンが大切。でも、それ以上に自分の個性やこだわりを大切にして、それを磨いていくことこそが重要だと思っています。
